EOS津野
電子光学講座
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電子顕微鏡の世界で一時期注目を集めていたことにVortex Beam即ちらせん波の観察がありました。 1990年代から2001年代にかけては収差補正が主役でした。その後、らせん波の研究がそれに置き 換わったと言っても過言ではないほどの注目でした。らせん波は、原田の解説(荷電粒子の工業への 応用第132委員会:第212回研究資料、p.27)に詳しく述べられています。もともとは埼玉工大の内田 先生が外村プロジェクトにおられた時に電子線を鉛筆の芯を粉にしたものを通すことによって初めて 作った(M.Uchida, A. Tonomura, Nature 464 (2019) 737)ことから爆発的に世界での研究がスタート したものです。原田によれば、らせん波を作る方法には3つが知られており、第一の方法は、内田 先生が行ったようにらせん状の厚さ分布を持つ薄膜(位相板)に平面波を照射する方法です。第2の 方法が今は主流ですが、波状転移を含む回折格子を利用するもので、第3として棒状磁性体の一端 から発する磁力線を使う方法が提案されています。われわれ電子光学機器を相手にしている者に とっては第3の方法が魅力的に映るわけですが、これは単磁極の磁場を通すことにその主眼がある そうです。

このようにして作られる電子のらせん波ですが、まだ何かの役に立つと言う応用は見つかっていま ん。光の方では、光ピンセットという分子レベルの物の操作に実際に役に立っているそうですが、 電子ではまだです。しかし、電子ビームのらせん運動と言うことについて考えて見ればそれは私たち になじみ深いものです。電子レンズの中で電子は円運動をします。このことは、すでにBushuによって 1920年代に見つけられています。応用としても、加速器からの電子ビームの輸送とか、磁気ボトルを 利用した広い角度分布を持つ電子ビームの収束など、いくつもの応用がすでにあります。それでは、 今はやりのらせん波と我々になじみの電子ビームのらせん運動とは何が違うのでしょうか。私が思い つく2つの違いは、1. らせん運動の方は磁場がなくなると消滅しますが、らせん波は磁場の存在しない 場所にも存在します。2. らせん波であることの証明として電子回折パターンがリング状になることが 挙げられていますが、らせん運動する電子ビームは、それが困難と言いますか、そもそも電子回折 パターンを作ることが出来ません。
ここではらせん波についてではなく、電子のらせん運動の色々なパターンをご紹介します。 ほとんどか磁場中で起こるらせん運動ですが、最後に回転する一様電場によってもらせん運動を 作り出すことが電子ではなくイオンについてですが明らかにされていますので、それについて 少しだけ触れておきます。

電子のらせん運動のいろいろ


SEM(走査電子顕微鏡)の二次電子 SEMの加速電圧を下げると、金属やカーボンなどでコーティングしなくても絶縁物や半導体が見れる と言うことで、加速電圧を下げる競争が行われた時代があったのですが、加速電圧を下げることに よって、空間分解能が悪くなります。こを補うために、それまで、SEMの試料にはレンズの磁場が かからないように作られていたのですが、磁場中に試料を置く、浸潤型レンズが使われるように なりました。しかしながら、図1に示すように、試料に磁場のかかるレンズでは試料から放出された 二次電子のほとんどは磁場に巻きついてらせん運動をしながらポールピーに吸い込まれ、レンズの 中に入ってしまいます。しかし、レンズの中にはもはや磁場がありませんから、ビームは、図に 見られるように発散してしまいます。通常のET(エバハート・ソーンリイ)検出器にはほとんど二次 電子は来なくなってしまいました。

二次電子は、磁場のない領域に入ると、発散してしまいますから、レンズの光軸に沿った穴の中に 細いソレノイドコイルを入れて、弱い磁場を連続させて、らせん運動を継続させたままレンズの上端 まで持ち上げます。この方法は、1980年代の末頃に電子ビームテスティング用の装置に応用するため に研究さていました(文献1,2)。その様子を図2に示します。レンズの強い磁場ではらせん運動の周期 は短かったのですが、ソレノイドコイルの弱い磁場領域ではらせん運動の周期は長くなります。しかし 、周囲の壁に当たって消滅することを防ぐだけですから、半径が内部の穴のそれより小さければ良い わけです。

2. TOF(Time Of Flight)方式の分析装置

次の応用は、二次電子ではなく、試料に光を当てた時に発生する光電子の分析器としての応用です。 装置の全体図を図3に示します。この図は、 北海光電子で発売しているTOF(Time Of Flight)飛行時間型の仕事関数測定装置の概略です。 この装置では、試料に光を当てた時に出る光電子が検出器に到達するまでの時間を測定することで 仕事関数を調べます。電子の飛行時間を数百nsec位にするために飛行距離は1m位を取っています。また、 電子をゆっくり飛ばすために、光電子の加速電圧も100V以内と低く抑えています。

こうした低エネルギーの測定では、たいていの場合、外部磁場の変動などの外乱の影響が大きく効いて くるものなのですが、そこがらせんビームの素晴らしい所で、外乱に強い仕組みになっています。 らせんビームを得るための方法は、SEMの二次電子の場合とほぼ同じですが、試料にまずは強い磁場を 加えます。なぜ強い磁場かと言いますと、それは、試料から放出される光電子の角度分布は、全角度 範囲(+-90°)にわたっています。そのうちのなるべく多くの角度範囲のビームを集めた方が感度や精度 が良くなるからです。

SEMの二次電子の所でお話ししたように、磁場がなくなると、電子ビームは発散してしまいますから、 図4に示すように、永久磁石の磁場が磁石から離れるにつれて減少しますが、それがなくならない うちにソレノイドコイルの磁場に引き継ぎます。ここで、なるべく磁場がスムースに減少してそこ から長い距離一定の磁場が続くようにします。図4では、ソレノイドコイルの長さは短い場合を示して いますが、実際には1m位の長さにします。こうした磁場の環境下で、光電子の軌道を描かせますと、 図5のようになります。図4からわかりますように、磁場の強さは磁石の根元で一番高くなり、そ こから急速に減少します。ですから、強い磁場に試料をさらすためには、試料を出来るだけ磁石 の表面に近付けておく必要があります。磁石表面は、NdFe永久磁石を使った場合、大体0.3~0.35 Tesla位が得られるようです。

図5を見ますと、試料から出た光電子はそれぞれの放出位置から拡がる方向に出て行きます。これは、 磁場の強さが減少していることに対応したものです。中心部から出たビームは直進します。一点から 色々な角度で出たビームは、角度が大きいほど大きな半径のらせんを描いていますが、同じ位置から出たビームの 中心の軌道は変わりません。

永久磁石の強い磁場からソレノイドの弱い磁場への磁場の減少の流れをスムーズに行うために、短いソ レノイドコイルを真空内に入れたのですが、この磁場を1m続けるのには、やはりコイルは真空外に出した 方が良いので、途中からソレノイドコイルを真空外に置いたのですが、真空内のコイルの作る磁場と真空 外の磁場の値が異なってしまったために、図6に示しますように、コイルの重なり部分で軌道に曲がりが 出来てしまいました。さらに弱い磁場の真空外コイルの中で、光電子はらせん運動を続け、やがてコイルの 端に来ますと、ビームは発散します。そこで、TOF装置としては、検出器をコイルの磁場が一様な状態にある 十分内側に置かなければなりません。真空外コイルの長い区間、全体としてのビームの軌道は、高さが低 くなって行っていますので、これは、ソレノイドコイルによるレンズ作用かもしれません。

図7は、光電子の放出エネルギーが1eVの場合と2eVの場合について、飛行時間を比較した例で、全体として 700nsec位の時間で検出器に到達していますが、両者の時間差は、20nsec位になりますので、十分サンプリング オッシロスコープで区別できる時間差になります。ここで大切なことは、それぞれの場合について、光電子の 放出角による飛行時間差が図でほんのわずかですが区別が付きますが、エネルギー差に対する時間差に比べると、 ほとんど無視できるほどに小さいと言うことです。このため、TOF、飛行時間測定法による光電子エネルギー 測定は沢山の電子を測定に使うことが出来、高い感度が期待できることになります。

その他にも、こうした電子のらせん運動を利用した計測で特徴的なことは、外乱の影響を受けにくいことが 挙げられます。この進んでいるビームに外部から横方向に磁場を加えてビームの向きを曲げてやろうとし ましても、ちょっとやそっとの磁場の強さでは、ビームは曲がってくれません。それは、ある意味では 不便なことかもしれませんが、外乱に強いと言う低加速電圧のもとで使う装置には強い味方となる性質 でもあります。磁気シールドなどはいらないのです。これは想像ですが、皆さん地球ゴマと言うので 遊んだ経験はありますか。地球ゴマを回した状態で動かそうとすると抵抗がありますね。何も妨げるものが ないのに、動かしにくいのです。しかし、コマが回っていなければ何の抵抗もありません。これと同じ なのではないかと想像しています。電子がらせん運動をしていることで、それは外部からの力に対して 抵抗力を持っているようです。さらには、大きな放出角で出た光電子も集めて直進させてくれますので、 装置の外壁に当たって反射したビームなども存在しないのです。らせんビームにしていない他の方法では、 全方位に放出された光電子のうち、ほんのわずかの角度範囲のビームだけを利用して大部分のビームを 捨てていますので、この捨てられたビームが色々な手段で測定の邪魔をしてくる可能性があります。 しかし、らせん運動をさせることによって、放出されたビームの全部を細く絞って検出器の方に運んで 行きますから、悪さをするビームは残されていないのです。ただ、+-90°までのビームが図6に示し ましたように放出角依存性を持たないわけではなく、45°以上のビームは飛行時間の角度依存性を持ちます ので、飛行の途中で絞りを入れて除いてやった方が良いかもしれません。これは、装置のエネルギー 分解能と感度のどちらを優先するかという問題でもあります。

ここでひとつ、問題点を述べておきます。図7の(c)は、図5の場合と同じような場合のらせん軌道を示して いますが、ソレノイドの磁場を弱くしますと、図(b)のように変化します。(b)と(c)の大きな違いは、 (b)では光軸中心に対して上の方にあるビームが下の方に来て、再び上の方にあがっています。その繰り 返しとなっています。つまり、レンズが何段にも繋がっているような軌道と考えられます。これに対して、 (c)では、中心軸より上に位置するビームは最後まで上にあり、下に位置するビームは最後まで下にいます。 つまり、レンズ作用ではなく、らせん運動だけで進んでいるように見られます。もちろん、(b)の場合も らせん運動もしているわけですが、そのらせんの軸は中心軸即ち、光軸となっているわけです。全ての らせんの中心は光軸にあるわけです。つまり、レンズ作用に伴った電子の回転運動と理解することが 出来ます。ここには示してありませんが、実は、(b)の場合は、飛行時間がビームの放出角に強く依存 してしまいます。1eVのエネルギー差よりも+-40°と言う放出角の差が大きな飛行時間の差を生みます。 ですから、(b)の場合は、光電子のエネルギー測定には不向きな条件となります。

同じらせん運動とは言っても、このようにレンズ作用に付随した回転運動と、レンズ作用とは関係しない らせん運動とがあるようです。(c)の図を見た時、ソレノイドコイルの真空内の物から真空外の物へ 移り変わる時にビームが全体として拡がっているのが認められます。それはもしかしたらレンズ作用か もしれません。らせん運動をしている電子ビーム全体に対して、ソレノイドの磁場を場所によって変化 させれば、レンズ作用を及ぼすことが出来るかもしれません。但し、ここではビームが広がっていますので、 レンズ作用とすれば、明らかに凹レンズです。軸対称レンズで凹レンズは作れないと言うのがシェルツァーの 定理にあったようでしたので、らせんビームは、シェルツァーの定理の外にあるのかもしれません。 この他にも、このいったん拡がった全体のビームは、長い距離を進む間にだんだんにその全体としての 直径を狭めていますので、これは今度は凸レンズ作用を受けているのではないかと想像されます。 このようにらせんビームに対して、全体的にレンズ作用を及ぼすことが出来るのであれば、クロスオーバーを 作る所までその励磁の強さを強めて、電子回折パターンを作らせれば、Vortexビームの証明である リング状の電子回折パターンが見えてくれるかもしれません。そこまではまだ試みていませんが、 いつか挑戦出来ればと思う課題ですね。

3. 加速器で作られた陽電子ビームなどの輸送

だんだんお話しする装置のサイズが大きくなってきましたが、今度は建物全体に伸びるヘルムホルツコイル 群による電子ビームの輸送のお話です。陽電子と言うのは、普通の電子と同じ質量を持っているのですが、 そのチャージがプラスを示しています。宇宙が出来た時には両方の電子が同じ数だけあったのが次第に マイナスチャージの電子だけの世界になったと言う話も聞いたことがあります。今では、陽電子は二通り の方法で作られます。一つは加速器中で作られます。もう一つは加速器中である物質に電子を当てていると その物質からひとりでに陽電子が出てくるようになります。この物質を陽電子発生源として使う方法です。

第一の方法で作られた陽電子を色々な装置で使うために、装置のある場所まで輸送するためにヘルムホルツ コイルが使われます。上で述べた二つの方法で使ったソレノイドコイルに相当するものです。ソレノイド ではなくヘルムホルツコイルが用いられるのは、直径が結構大きならせんを作ればよいことと、コイルの間 の隙間から色々なものを入れることが出来ると言う便利さからです。図9(a)がその上半分の図、(b)がヘルム ホルツコイルの上半分の磁束密度分布を示しています。そして、(c)には中心軸上の磁場強度分布が示され ています。ここでは一番右側のコイルの極性は左の3個の極性と逆にしてあります。そのため、図9(c)に示す 軸上磁場分布では磁場強度が反転しています。このように、最後のコイルの極性を反転させる理由は、電子 のらせん運動を止めるためです。なぜらせん運動を止める必要があるかと言いますと、今までの2つの応用 と異なり、試料が無磁場の空間に置かれるためです。らせん運動が終わってから無磁場空間に入れば電子 ビームは発散を免れますが、らせん運動のままで無磁場空間に入ると今まで示してきた例と同じように電子 ビームは発散してしまいます。ここで、極性の違うコイルを置く理由をらせん運動を止めるためだと 言ったのは私の解釈で、これまでお会いした陽電子ビーム関係の先生方は全て、コイルの磁場をシャープに 落とすためと説明されていました。実際、極性の違うコイルではなく、磁気シールドのための穴の明いた 磁性体の板を使う場合もあります。

図10にはこのヘルムホルツコイル群を通り抜けた電子の軌道を示しています。左側から色々な高さで らせん運動を小さな振幅でしていたものが、3個目のコイルを超えたあたりから磁場がいったん零になるため ビームは若干の広がりを見せているが右側のコイルを超えたあたりからそれまでバラバラにらせんを描いていた ビームが二つの塊に収束しているのが認められます。二つの塊に分かれた理由は、通過するビームの 初期位置を少しだけ変えたためです。らせん運動を止めた電子は最終コイルの弱い磁場によるレンズ 作用によってその外側でフォーカスしたのです。このようにいったんらせん運動を止めればビームは 磁場のない空間に放出されても発散することはないわけです。このフォーカス点のすぐ後方に磁場レンズ を置けばそのビームを試料上にフォーカスさせることが出来ます。このように、ヘルムホルツコイルによって らせん運動をしながら輸送されてきた電子ビームは、最後のコイルの極性を反転させることでそのらせん 運動を止め、ビームを発散させることなく無磁場空間に開放させることが出来るのです。

4. 回転一様電場中のイオンのらせん運動

らせんビームの生成法に関して衝撃的なニュースは、Tokyo University of Science のSuzukiさんによって 松江市で2014年11月に開かれた表面科学会の国際会議ISSS7で発表されました(文献6,7)。それは、回転する 一様電場によってらせんビームが作られるという内容です。この原理は、すでに1998年に文献6によって 知られていたことなのだそうですが、それから15年以上も忘れられていたと言うことなのでしょうか。 鈴木さんたちによって再発見されたと言うことかもしれません。彼らは、これを質量分析装置として応用 しようとしているようです。ただ、ここではその内容の再現も出来ませんので、原理や内容に関しては 文献を参照いただければと思います。

感想

上で述べた鈴木の発表を聞くまで、らせんビームは磁場に特有のものと思って来たわけ ですが、電場でもそれを回転することによってらせんビームになると言うことでした。ただ、Vortex らせん波の場合は、例えばらせん状の位相差を持った物質を通り抜けることで生成されるわけで、そこに 磁場は何ら関与していませんから、回転する電場と言うのはむしろこのらせん状の位相物体により近い ものであるとも考えられます。位相差顕微鏡などで中心ビームと周辺ビームの間に位相差を与えるために 中心に穴のあいた薄膜を用いる方法と、真空中に作られる電場分布を利用する方法とがあるのと同じ ように、vortexらせん波を作り出すためにも、物質中を通すことで位相変化を起こす方法と電場 を与える方法が共存しても不思議はないような気がします。

但し、回転電場による方法では、磁場によってらせんビームを作る場合と同じように、電場がなくなると ビームは発散してらせんは消滅するようです。このことは、磁場の場合と共通していますが、この共通 点は、電場や磁場のらせんビームがその場を作っている装置の入口と出口つまりフリンジ場がらせんビーム 生成に重要な関係を持っていることを示唆しています。実際、vortexらせん波生成の第3の方法として 上げられている棒状磁石による方法(文献8)では、単磁極であることが必要条件として挙げられています。つまり、 入口のフリンジ場によってらせん波が形成され、出口のフリンジ場に出会わない限りらせん波は消滅しない と考えられるからです。このことは、また磁気ボトル型のTOF装置の場合に、永久磁石の強い磁場によって らせんビームを作り、これをソレノイドの弱い磁場につないでらせんを継続させる手法にも通じています。 磁場が強くても弱くてもとにかく出口を作らなければ反対側のフリンジ場には出合わないと言うことです。

こうして考えますと、voltexらせん波と磁場や回転電場によるらせんビームは、同じものだと言えそうです。 もし、同じものとしますと、今度は別の疑問がわいてきます。vortexらせん波には、横向きの運動に対して の抵抗力があるのかどうかと言う点です。磁場で作ったらせんビームは、ちょっとやそっとの横磁場では ビームを偏向することが出来ません。このため、外乱に強く、低い加速電圧でも分析装置として正確に 働かせることが出来ます。これはまた、地球ゴマについての我々の感覚とも一致します。回転している 駒は外力に抵抗すると言う感覚です。vortexらせん波の場合はどうなのでしょうか。偏向系が効かないで 困った経験と言う話は聞いたことがありませんので、普通のビームと同じなのかもしれません。だとすれば 同じらせんを描いていると言っても両者は別のものと言うことになります。ただ、らせん運動に二種類あると すれば、その違いは周期とか振幅の違いに求めなければいけませんから、定量的な議論が必要になります。 何より求められるのは、同じ電子線を扱っている人たちの間でそれらの装置製作者と装置利用者の交流が ないことが、らせんビームについて全く別の扱いをしてきた原因を作ったのではないかと言う気がします。 らせんビームは昔からずっと利用されて来ましたが、vortexらせん波は新しい電子の性質と認識され、その 応用が模索されています。電子は二種類の別のらせんを描くことが出来るのでしようか。人は、作る ひとと使う人に分かれることが出来るからと言って、両者に別の顔を向け続けるのもらせんビーム、らせん波 にとっても大儀なことではないでしょうか。
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目次(全体)

0.最初のページ
1.レンズの光学(FromTheGodHand)
2.透過電子顕微鏡(TEM)の電子レンズ
3.
走査電子顕微鏡(SEM)レンズ
4.
光電子顕微鏡(PEEM)電子レンズ
5.収差補正
6.偏向と非点補正
7.エネルギー・アナライザ
8. Wien Filter
9. スピン回転器
10.著者のページ

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作成日 2017/08/15 改定 2018/11/28

目次
9. その他のプロジェクト 
9.1.プリズムアレイビームセパレータ
9.2. 空間電荷考慮の軌道
9.3. スピンマニピュレータ・回転器
9.4. ボルテックス螺旋運動(ここ)
図1.試料から対物レンズの穴を通して巻き上がっていく二次電子ビーム。
図2.対物レンズの穴の内側に巻いたソレノイドコイルの磁場でらせん運動を続けるSEM二次電子。
図3. 磁気ボトルとソレノイドコイルを使ったTOF仕事関数測定装置の概略。
図4. (a). 永久磁石とそれのイとコイルの配置。(b). 軸上磁場分布。
図5. 永久磁石上に置いた試料からの光電子が強磁場中でらせん運動をする。
図6. 永久磁石の強磁場からソレノイドの弱磁場に入って1mの長さをらせん運動していく光電子ビーム。
図7. 試料からの光電子の放出エネルギー1eVと2eVの場合の飛行時間の比較。
図8.ソレノイドの磁場の強さを弱くした場合(上)と強くした場合(下)の軌道の違い。 弱い場合はレンズ作用、強くなるとらせん運動する。レンズ軌道の場合は中心軸に 対して電子の軌道は反転し、らせん運動の場合はしない。
図9. 陽電子ビームを輸送するためのヘルムホルツコイルの終端部。
図10. 図7のコイル群の中を通る陽電子ビームの軌道。

文献

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